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橋本努のホームページ
Hashimoto Tsutomu Seminar General Introduction

ゼミ一般について

    ゼミって何?
    ゼミ選択の準備をしよう
    ゼミの変更はできますか
    複数のゼミの聴講生になろう




ゼミって何?

 「ゼミ」とは、「ゼミナール」「セミナー」「セミネール」の略称です。通常は、指導教官と少人数の学生たちによって運営されています。いわば学問のサークル活動のようなものです。
 一般的なケースでは、毎週一回、学生がある本の内容に基づいて発表をし、参加者全員で討論を行っています。ゼミではとりわけ、議論する力、研究発表をする能力、司会をしたり質問をしたりする力、広い意味でのコミュニケーション能力、専門的な知識を学んでいくノウハウ、などを伸ばすことが目標となっています。
 熱心なゼミでは、学生たちが夜遅くまで討論を続けているようです。指導教官は、学生たちに決めの細かいアドバイスをしたり、あるいは課題や宿題を出したりしています。そして学生たちにも、大いにやりがいを感じて活動しています。
 しかし反対に、それほど盛り上がっていないゼミもあります。ゼミの運営は、指導教官と学生たちの自主性によるところが大きいので、盛り上がるかどうかは「あなた次第だ」ということになるでしょう。
 一つ、すぐれたゼミをご紹介しましょう。中央大学の田中拓男先生のゼミです。このゼミでは、もう二〇年以上にわたって、グループごとに自主的な海外調査研究を行っているそうです。例えば、「アジア経営班」は、グループの共通テーマとして「アセアンにおける電機産業のネットワーク経営戦略」という共通テーマを選び、「日本の家電産業」「日本的経営」「アジアの経営戦略」などの問題について、各自が調査し、サブゼミを通じて繰り返し討論しながらまとめていく、というのです。このように、学生たちが主体となって、精力的に活動しているゼミもあります。詳しくは、田中拓男著『若者たちのキャンパス革命』文眞堂1998, 116-29頁をご参照ください。北大にも、盛り上がっているゼミがたくさんあります。


ゼミ選択の準備をしよう

 ゼミの選択は、学生生活の中身を大きく左右することになります。ですから、なるべく早く、教官の専門分野やゼミの内容に関する情報を集めておきましょう。ゼミの見学は、大学一年次からいつでもできます。例えば「10分間見学させてください」と申し出て、さっそくゼミを見学させてもらいましょう。
 ゼミの選択に際しては、できるなら、いろいろな教官の研究室を訪ねてみることを奨めます。友達から聞いたウワサではなく、教官と直接会話をして決めましょう。
 希望者の多いゼミでは、選考ないし抽選があります。その場合、教官は、必ずしも人を判断する能力に長けているわけではなく、むしろ誤った選考をしている可能性もあります。あるゼミに落ちて別のゼミに入った人が、現在では「落とされたゼミの教員の専門分野」ですぐれた研究者になっている、なんてこともあります。ですから、ゼミの選考結果については、それほど根つめて考えないようにしましょう。
 選考のために準備しておくことが一つあります。一般にゼミの選考では、「大学に入ってからこれまでどのような生活をしてきましたか」とか、「どのような本を読んできましたか」と質問されることが多いので、何かあらかじめ考えておきましょう。その際、例えば「アルバイトをがんばりました」と答えることは、あまり教官に印象がよくないようです。アルバイト以外で何をやってきたのか、あるいは何を考えてきたのかについて、他の学生とは違った自己アピールができるように、頭を整理しておきましょう。
 なお二階の図書室では、過去に提出された優秀な卒業論文を読むことができます。すぐれた卒論を書いている学生がどのゼミに所属していたのかを知ることも、選択に際して一つの参考となるでしょう。


ゼミの変更はできますか

 「ゼミの選択をもっと真剣に考えておけばよかった」と後悔する学生も意外と多いようです。法学部であれば、どのゼミも半年ごとに開講されますので、前期で失敗したら後期で別のゼミに移ればよい。しかし経済学部では、学生は二年間、一つのゼミに所属することになります。ゼミ選択を誤ったがゆえに、二年間まったく苦痛な学生生活だったというのでは、学費がもったいないですよね。
 しかし経済学部でも、途中で別のゼミに変更することができます。単位は一年ごとに出ますが、教官のあいだで合意があれば、学生はいつでも別のゼミに移れます。なるほど、定員の充足したゼミに再編入することは難しいかもしれません。それでも最近では、留学や留年などの理由で、欠員が生じているゼミが多いようです。移りたいゼミの教官に相談してみましょう。


複数のゼミの聴講生になろう

 私は学生のときに、国際金融論のゼミに所属していました。しかしそれ以外にも、単位とは関係なく、月曜日から金曜日までの五日間、毎日いろいろなゼミに出ていました。「聴講生になりたいのですが」と申し出て、さまざまなぜミに例外的に参加させてもらっていたのでした。授業よりもゼミのほうが実質的な勉強になりますよね。もしみなさんがゼミの選択に迷ったら、とりあえず複数のゼミに出てみることをお奨めします。 「聴講生になりたい」という学生を拒むような教員は、あまり多くないでしょう。むしろ歓迎される場合が多いようです。
 また、あるゼミに一回だけ参加するとか、経済学部以外のゼミに参加してみるというのも、貴重な経験になるでしょう。大学院進学を希望されている方は、ゼミよりも大学院の授業に、「聴講生」として参加させてもらってはいかがでしょうか。やる気のある学生であれば、どの教官でも歓迎してくれます。私のゼミも、不定期で参加する学生を歓迎しています。